歯の豆知識2021.12.03
歯科の未来はデジタルへ
昨日、当院の技工物をお願いしているペップワンの高橋社長とお食事をしながら、お話をしてきました。
患者さんとして通って頂いており、信頼関係を築き、お仕事をさせていただいています。
歯科医師は患者さんのお口の中に直接手を入れて、歯を削ったり、手術をしたり、型を採ったりします。
そして型に石膏を流し込み、模型を作り、その模型から歯科技工士さんが詰め物や被せ物、入れ歯を作ります。
これがうまくいけばお口の中の状況と技工士さんが作る模型は一緒のはずなので、調整は要らないか、あっても少ないはずです。
しかし、実際には寸法変化をします。
湿度、温度、使う材料、タイミング、ちょっとしたことでちょっとずつ変化するのですが、それは最終的には小さくないズレとなることも多いです。
①型を採る時
②石膏を流す時→固まる時→型から外す時
③ワックスパターンや咬合床、人工歯の配列を行う時
④ワックスパターンから金属を鋳造するとき、セラミックを焼くとき、ジルコニアをシンタリングするとき、入れ歯を完成させるとき
ざっと挙げてもこれだけ変形の機会があり、だからこそ多くの場合、実際の口の中に収める時は調整が必要になります。
現在、歯科技工士さんは学校を卒業しても歯科業者のサラリーマンになったり別の仕事に転職したりして、卒後5年後には5人に4人は歯科技工士としての仕事から離れてしまうそうです。
合わないと歯医者に怒られ、保険の金属をたくさん作っても給与は最低時給に届かず、労働時間が長く、ストレスが多い割には報われないと感じる人が多いからです。
これは歯科業界においては危機だと思います。
それに加え、日本全体が狂った労務のせいで美容室も医療業界も技術を練習するのが当然だったのが、権利を守られすぎて技術者や優秀な人材が育ちにくくなってしまう土壌になっています。
技工士のみならず、歯科医師、歯科衛生士も本当にやる気のある人間しか成長しないので、全体としての人材の質は劣化していくことでしょう。
変形がない印象(型)、変形しない模型、変形しにくい材料、安定した技術力、これを満たすには・・・光学印象と3Dプリンター、CAD/CAMです。
デジタル上のデータは変形もしないし、プログラミングされた技工物を機械で削り出したり、3Dプリンターで作ったりすれば個人差はないです。
まだスキャナーの精度やミリングマシーンの精度が上がってくれば、人の手がドンドン要らなくなります。
逆に任せられる人がいなくなるから開発を進めてきた訳ですが。
労働人口が減り、材料となる金属の値段が上がり(コロナにより金属価格は急騰しました。自動車の排ガスの触媒に使うパラジウムは純金より高く、今では自費の18金よりも保険のパラジウムの方が材料費は高くなっています。)、技術者が育ちにくい土壌だからこそ、これからはデジタル中心の歯科医療に間違いなく移行していきます。
「銀歯」と呼ばれる金銀パラジウム合金の保険で使用している材料で出来ている保険の私有不謹慎poあ夫のおおaq
デジタルと言えば情報発信も紙媒体からネット、それがもっと進んで、最近の情報取得のトレンドは動画へ移っています。
CAD/CAM のブロックの種類やより本物の歯に近い色にする為に色付けする「ステイニング」、ブロックの種類による強度の違いなどについて動画作成をしたり、院内技工士が材料の性質について患者さんに御説明をするシステムにする、等について患者さんへの啓蒙や御案内をしていこう、というお話をしました。
信頼し合える仲間として技工所、歯科医院がお互いの立場から現場の声を統合し、連携を取りながら新しい技術への対応をしていきたいと高橋社長とお話をしながら改めて思いました。