歯の豆知識2022.01.31
歯を抜きたくない でも歯医者が抜くっていう時 患者さんはどうすれば良いのか?
歯を抜きたい患者さんは基本的にはいません。
特殊な場合として、異常な位置に歯がある場合、痛みをどうにか取って欲しい場合、などがあると思います。
歯科医師は、日常的に抜歯の必要性を語らなくてはいけない場合があります。
歯をどうしても抜かなくてはいけない場合とは
①その歯が感染源になっており、他の部位に感染を広げてしまう場合
②揺れる、割れている、などの理由でその歯があることで理由で食事や発音を妨げる場合
③歯列矯正で歯を並べるスペースを作るために歯を抜く以外の方法が無い場合
④認知症、その他全身疾患(癌の治療、ビスフォスフォネート製剤の使用、など)の理由で今、抜歯すべきと判断される場合
などがあります。
重度歯周病、縦の歯根破折、歯肉縁下深い位置の虫歯など、抜歯以外の方法が無いという場合もありますが、「症状がない」「困っていない」場合は歯を残す為の根本的な治療が出来なくても、延命をはかり、患者さんが「抜歯も仕方ない」と納得いくまで使う事をお勧めしています。
私達は神様ではないので、医学的に抜かずに治療が出来ない事はあります。でも歯科医師に抜歯と言われても患者さんが納得いかなければ抜く必要はありません。
自分の身体の一部を失う事にためらいがない患者さんの方が少ないと思います。
命に関わる場合、緊急性がない場合は自分の心の声に従って頂いて良いのです。
勿論、抜かずに残しておく事のデメリットもあります。
それは歯科医師の方から説明致します。
勿論、残せる可能性があるならば、可能性が低くてもその方法をまずお話しします。
納得がいかなければ何度でもお話します。
他院で抜歯と言われた、という患者さんは多いです。
でも私達の行う治療で残せる場合もあるし、前医の先生と全く同じ診断になることもあります。
ですから自分の納得のいくまで御質問ください。
私達は事実を変えることは出来ません。しかし寄り添うことは出来ると思います。
「無事是好日」という言葉が禅の世界にあります。
健康はまさに失ってその本当の価値を知るものです。
どんなに地位が高くても
どんなのお金を持っていても
どんなに幸せな人生を送っていても
健康を失うだけで人は簡単に不幸になってしまいます。
ですから、小児の時よ歯の守り方を知って頂きたいのです。
私は中学校の校医をしていますし、市の検診もします。
そんな私が言います。
私が一生懸命したとしても目のみで短時間で行う検査をあてにしすぎないでください。6倍のルーペでLEDのライトを視線と同軸で点灯させて見ても完全ではないのです。目で見えるものには限界があります。
大勢で受ける検査の場は検査精度のない、大まかな問題を見つけるスクリーニングの場に過ぎないのです。
歯を残すには、まず削らない事。
そして20代になってからは歯周病を発症させない事。
それはある程度予測して、習慣で防げます。
それでも、突然の事故や力による歯根破折はなかなか防ぐのが難しいです。
だからこそ定期的に歯科医院を歯を治すためにではなく、歯を守る為に、歯の事を気にせずに人生を楽しめる様に、毎日が「無事是好日」である様に利用して頂ければと思っています。