歯の豆知識2022.09.19
健康を守るのは患者さん自身です 過去と他人は変えられない 変えられるのは自分だけ
「健康はお金では買えない。しかし失って初めてその価値を知る」
医科でも歯科でもどんな治療をどんな優れたドクターが行うよりも、やらないに越した事はないのです。
本当に私達がやりたい医療サービスは、人生においてなるべく長く歯のことで悩まないで済む時間を過ごせる事にするお手伝いをする事です。
だから、最も重要な仕事は
「歯や口の中の事で困らない為にやった方が良い事」の情報をお伝えして、それが遂行できる様にお手伝いする仕組みを提供する事です。
具体的には
①虫歯、歯周病にならない生活習慣の情報を発信して、口腔衛生指導、食生活習慣、習癖などを良い習慣に変えて、それを実行してもらう事
②メインテナンスに来院して頂き、習慣のチェック、健康のチェックを行う事
③問題を発見した時に、それがなるべく重篤にならない様に解決(治療)する事
です。
当院で行なっている治療
コンポジットレジン修復
インレー、アンレー修復
根管治療
意図的再植
移植
クラウンブリッジ補綴
義歯
インプラント治療
全てでは無いけれど、これらの多くは虫歯、歯周病によって引き起こされた事で行われるものです。
どんな専門医でも重症なものは成功率が低いし、上記の治療にデメリットの無い完璧な解決方法はありません。
こうならない為に私達が出来る対応は非常にシンプルです。
虫歯はシュガーコントロールと歯磨きのやり方、頻度を増やす事、歯間部のデンタルフロスの使用たフッ化物の生活の中での応用です。
歯周病は歯磨きの方法に加え、喫煙しない事、全身疾患や遺伝的要因の有無を考慮してメインテナンスでチェックして重症化のサインを見逃さないで、重症化を防ぐ対応をする事です。
勿論、他にも強すぎるくいしばりの癖や、唾液の流量や成分の変化、象牙質の露出などの要因もあります。
しかし、食いしばりの癖をなくす事が無意識であれば改善は困難ですし、全身疾患や遺伝的要因、加齢による身体の変化も同様です。
変えられない事を嘆いても、どんなに知識や経験があり、腕の良い医療人でもどうにもできません。
患者さん自身でも変えられません。
だからこそ変えられる事に全集中する事以外、良い結果を導く方法は無いのです。
最近、ちょっと強い言葉にはなりますが、歯周病の患者さんには
「禁煙して頂かないと、治療に関しては諦めています」
とお伝えしたりします。実際に悪くて良い事は一つもありません。
そんな事を言われて不愉快な思いを患者さんが沢山おられるのは分かっています。
しかし、もし、その患者さんが肺がんに侵されていて、医者は「やめられないのは仕方ないですから」とは言わないと思うのです。だから、本気で歯周病の重症化を防ぐのにこの話題に触れないわけにはいかないのです。
人は立派な生き物じゃ無いから、そうした方が良いと分かっている事でもやりきれない事は沢山あります。歯科医院の歯科医師、歯科衛生士、スタッフである私達だってそうです。
でも、そこで言葉を軽くしてしまうと患者さんが変わるきっかけを失う事になります。
人間は立派じゃないからこそ、はっきりとダメなものはダメ、良いものは良いと患者さんが我が事として受け止められる様にお伝えするのが重要な仕事だと思っています。
人間は変えられるのは自分と未来だけです。
そうしてしまった過去の行いをいくら思い悩み後悔しても無かった事には出来ないし、人を変える事は出来ません。
自分の健康に対して誰のせいにする事もなく、100%自分で責任を持つ覚悟が必要なのです。
私達はその場をそれぞれが全力で頑張りますが、神様でも天才でもありません。
きっと患者さんの意に沿わないこともあると思います。
だからこそ、なるべく治療にならない様にする事に僕達も患者さんには良い事は良い、悪い事は悪いと伝える事に覚悟を持って臨まなくてはならないと思っています。
「お任せします」
一見、信頼のある言葉ですが、それでは守りきれないのです。
自分の健康を守る主役はあくまで患者さんご自身なのです。