歯の豆知識2022.09.21
型を取る詰め物(インレー修復)はどうすることが正しいの?
歯の欠損している部分を型を採って修復物を作って、セメントで合着して治す方法を「インレー修復」と言います。
これにインレーが咬頭という歯の尖った先端を含んでいるものを「アンレー修復」と言います。
インレー修復になるのは
「歯と歯の間の接触が完全に喪失したとき」
「欠損が大きく強度的にコンポジットレジン修復では十分ではないとき
「歯肉縁下(歯茎より下)にまで歯質の欠損が及ぶとき」
です。
今年の3月までインレーは保険適応は金銀パラジウム合金という国に決められた金属のみでしたが、4月からハイブリッドセラミックのブロックから機械で削り出したCADCAM のインレーも保険適応になりました。
「保険で白い歯が入るから、今までより良いね」
と思われるかもしれませんが、国がハイブリッドセラミックスの材質で新たにCAD/CAM を適応にしたのは国民の歯を目立たない様に治してあげたいからではない様です。
理由は金属価格の高騰です。
コロナ以降、金の値段は1.5倍になり、パラジウムは金より高くなりました。
そもそも純金で作ると高くつくからパラジウムを混ぜたのに、そのパラジウムが高くなってしまった事で歯科界では保険診療でも材料を沢山使うケースでは治療をするだけ赤字になる様になりました。
CADCAM インレーが今までの金銀パラジウム合金に比べて優れているのは
「白い=見た目が良い」
また「金属アレルギーの方に使える、また金属アレルギーを防ぐ」事です。
事です。
しかしデメリットもあります。それは
「金属よりも割れやすく取れやすい」事です。
そしてそれを補う為に「修復物の強度を強くする為に歯の切削量がメタルより少し多い」事です。
当院ではこのハイブリッドセラミックス割れやすい、という欠点に対応する為にe-maxという材料とジルコニアという材料のものも使っていますが、この材料は保険適応ではありません。
自費診療になるので、費用が高くなりますが目立ちにくく丈夫な修復物だと言えます。僕自身は自分やスタッフの修復物にはe-maxを良く使います。
e-maxなら割れないかというとそんな事は無くて、実際に自分に入れたe-max のインレーをセットから1週間経たずに割ってしまった事もあります。ですので咬む力が強い人は金属の方が良いとお勧めする事もあります。
他にも昔ながら有名な材料で「金」があります。
金が良いのは柔らかく、口の中の変化に適応して形を変える事が可能な事です。
そして金の鋳造方法は歴史があり、正確な修復物を作りやすい事です。
デメリットはまさに「金色である事」です。
インレー修復は上記のように色々な材料がありますが、共通して言えるのは「コンポジットレジン修復で対応できない、あるいはベターではないと判断した時」になります。
前回お伝えした様に、出来れば私達はコンポジット修復で済ませたいと考えています。
歯は削るだけ弱くなります。
だから何回でもやり直せるわけではなくて、人生において出来るだけ1本の歯に対して介入する機会は少ない方が良いと考えています。
ですので正直なところ、見える部分のインレー修復の材料の選択は自分や家族(子供達に大きな虫歯は今のところないし、妻は以前の治療したセラミックスの破折のみ)、スタッフ、にインレー修復の材料の多くはe-maxになります。
見えないところは金を選択する事が多いです。
保険の適応、適応外の差で金額はありますが、知った上で納得いく選択をして頂ければと思っています。