歯の豆知識2022.10.10
クラウンブリッジの素材について
歯医者さんで必ずと言っていい程、問題になるのは「何の素材で作るか?」です。
前回、お伝えした様に、二次的な虫歯を防ぐ事は、食生活や歯磨き、歯間ブラシ、デンタルフロスなどの口腔内の清掃習慣が大事です。
素材を決める上で考慮すべき事があります。
1 強度
2 審美性
3 費用
4 永続性
保険で出来る金属を使う場合、選択される患者さんのほとんどは「費用」を優先された結果です。折れにくい、割れにくいという「強度」が2番目の理由です。
保険外のものを選択される患者さんの多くは「審美性」を大事にされた結果です。そして2番目が「強度」です。
強度で言うと、金属はセラミックよりも割れにくいという利点があります。永続性(長持ち)に関しては、ジルコニアと金属の比較が難しい部分があります。ジルコニアが新しい材料だからです。セラミックは変色をしない、という意味では「綺麗が長持ち」します。
よく、「先生のオススメは何ですか?」と聞かれます。ですので、自分や家族、スタッフ、などに何を使うかをお伝えしたいと思います。
(前歯部)
クリアランス(補綴物の厚み)が十分に取れる場合はジルコニアオールセラミックで治療をオススメしています。ジルコニアは硬く強度のある素材ですが金属ではなく、色も白いので、技工士さんが前歯の色を出し安いのです。フレームにジルコニアを使い、透明感があり色々な色を出せるセラミックを用いて歯科技工士が築盛して色を出します。
セラミックは経年劣化による変色をしません。
クリアランスが十分に取れない場合はメタルボンドという補綴物を使います。金属のフレームにセラミックを築盛したものです。いわゆる「自費診療の被せ物の歯」というと以前はこの歯でした。現在はコロナ禍以降の金属の価格高騰により、ジルコニアに変わってきています。
天然の歯の色と既製のe-maxのブロックの色が合えば e-max という素材を使います。この素材に技工士が色をのせてリアリティーを出します。
保険で出来るだけ費用を抑えたい方は金銀パラジウム合金という金属に硬質レジンを築成した「硬質レジン前装冠」を使います。メリットは保険適応であるので安く抑えられる事です。デメリットは硬質レジンの経年劣化による変色があります。また、色も制限があり制限があります。
また、土台に金属を使用しておらず、ベースの歯の色の変色が強くないこと、既製のハイブリッドセラミックスのブロックと色が合えばCAD/CAM冠という補綴物を使います。デメリットは外れやすい、割れやすいということです。
(臼歯部)
保険診療では第二大臼歯は金属冠と決められています。
下の歯は口を開けて笑うと見えますが、上の一番奥は見えないことが多いです。ですので、上顎第二大臼歯は審美的には保険で十分と考えています。
金属の価格高騰もあり、4、5番目と第二大臼歯が揃っている6番目の歯においては保険のハイブリッドセラミックスのブロックから作るCADCAM 冠が白い歯としては使うことが出来ます。使っている臨床実感としては金属冠と比べると取れる、割れるのリスクは多いと思います。割れにくく固くて白いものを選ばれたい場合はe-max.ジルコニアをお勧めしています。
また、ブリッジに関しても犬歯から犬歯は保険適応で前装冠が使用できますが、、それより後ろの歯は関しては4番目の歯は白く前装出来ますが更に後ろの歯は銀歯になります。連続して金属の歯が入るのは目立つという理由で自費診療の歯にされる患者さんの理由の第一位は審美性です。
材料の事は書こうと思うと沢山書かなくてはいけないことが多いのでこれでも簡単に書きましたが、患者さんからすると分からないことが多いと思います。歯は削れば削るだけ弱くなるので、何度でもやり直せるとは思っていません。長く使う自分の「器官」として選んで頂ければと思っています。