歯の豆知識2022.10.20
3歳児検診に行くと、多くの子供は永久歯は綺麗には並ばなそうだった
本日は市の3歳児検診に行ってきました。
65名の3歳の方を2人の歯科医師で拝見しました。
半分くらいを私がは拝見したと思います。
うち、虫歯があったのは2人
反対咬合が4人
永久歯に生え変わる時に問題がなさそうな人が5人
つまり、一番多かったのは
「虫歯はないけれど、将来歯並びに問題が出そうな人」
でした。
つまり、子供達の未来は虫歯で悩むことから歯並びで悩むことに変わってきているということです。この問題に対してしっかり取り組まなくてはいけないのだとあらためて思わされる時間でした。
3歳の時点でチェックする項目はいくつかあります。
①虫歯はあるか
②清掃状態はどうか
③粘膜や舌などに問題はないか
④咬合(かみあわせ」に問題がないか?
⑥食生活に問題がないか
などを問診や口の中を見て、判断をします。
虫歯菌は1歳7ヶ月から2歳くらいの間にお母さんからお口の中に感染します。
お父さんでもおばあちゃんでもありません。
ほとんどがお母さんであることが研究で分かっています。
だから、まだ虫歯菌に感染して時間がさほど経っていないので虫歯はないのが普通なのです。
現時点で虫歯がある場合、食生活に問題があることがほとんどです。
食生活の問題とは「糖の摂りすぎ」です。
ジュースやお菓子などを与えすぎてしまっている事が大きな原因です。
糖には依存性があるのでそれに慣れてしまうとお子さんは欲しがります。
だから「糖中毒」にしない習慣を親が作ってあげる事がとても重要です。
そして、この時期に出来てしまう虫歯の殆どが上の前歯の間です。
下の前歯には出来ません。
これは唾液が虫歯菌が作った酸を中性に戻してくれて、カルシウムを足して再石灰化という修復をしてくれるのですが、上の前歯には唾液は溜まらず、唾液は常に下の前歯の方に溜まるからです。
ですので親が歯磨きをしてあげるのは必須ですがどこを磨くかはとても大事です。
上の前歯にと奥歯の歯と歯の間
ここが最も虫歯ができるのでそこをしっかり磨いてあげてください。
舌小帯、上唇小帯の異常はこの時期には対処せずに経過観察します。
異常の解決方法は手術となるので、手術が出来る(耐えられる)年齢まで待ちます。
そして歯並び
この時期はすきっ歯である事がとても大事です。
実は3歳の時の歯並びは多くの場合6歳まで何もしなければ変わりません。
ですので、乳歯より大きな永久歯が生えてくるにあたって、乳歯がきっちり並んで隙間がないと永久歯が綺麗に並ぶことはないのです。
一番は遺伝的要因です。
お父さん、お母さんに顔が似る様に歯並びだって似てきます。
そして生活習慣が次に影響を与える要素です。
指しゃぶり、口で呼吸をするクセなどで歯の並ぶ位置は変わります。
指しゃぶりがあっても、やめれば元の遺伝的な位置に歯は動きます。
鼻に病気があったりアデノイドと言って呼吸の空気の通り道を邪魔する要素があって口を開けてしまうクセがつくわけで、それを治して舌が正しい位置になると歯は動きます。
反対咬合だったとしても、ムーシールドという装置を使ったりして舌の位置、唇のクセを改善することで、歯を動かすことが出来ます。
この時期に一番重要なのは「悪い習慣を辞めて、良い(正しい)習慣に変えることです。
検診では限られた時間で、かつ小児の患者さんに対しての知識が十分な歯科医師ばかりが見ているわけではありません。当番なので正直当たりハズレはあると思ってください。
私も開業当初と今とでは全く視点が違うし、同じ時間で得られる情報も雲泥の差があります。
是非、予防の習慣を身につけることをしつつも、3歳児検診を市で受けたから大丈夫だ、で終わらず、小児に詳しい歯科医院でみてもらうことをオススメします。