医院ブログ2022.11.28
治療にかかる日数、回数について
当院では来院初日にカウンセリングと検査を行います。
2日目に治療計画について患者さんに説明して、追加の検査が必要であれば検査を行います。
3日目に、急ぎの治療がなければ歯科衛生士さんからの口腔衛生指導と口腔清掃(歯周治療としてのスケーリング)を行います。
4回目以降に削る、詰めるという処置を行います。
勿論、アポイントが同日で取れれば、
2回目の内容30分、3回目の衛生士の指導30分の合計1時間
あるいは
3回目の衛生士の指導、スケーリング30分 その後 治療30分の合計1時間
という診療をすることもありますが、歯科医師と歯科衛生士の診療枠が同時に取れる枠はいつでも取れるわけではなくて、場合によっては2枠一緒に取れるのがだいぶ先になってしまう場合もあります。
先日、患者さんからお叱りを受けました。
「もう何ヶ月も通っているのに、まだこんなに治療があるなんて。」
この時は患者さんから歯科衛生士の歯周治療時のクレームで、院長の私は1度も入ったことがない患者さんでしたので、これまでの治療履歴を調べました。
すると、特に時間がかかり過ぎている治療は認めませんでした。
ただ、月に2回ほどの来院でしたので、やるべき治療が終わっていないのもまた事実でした。
来院2日目に治療計画と必要な治療内容について同意を得ていたはずなのですが、時間の経過に対して治療の進行が患者さんの思ったスピードではなかったことがトラブルの原因です。
治療はどうしても回数がかかるものがあります。再根管治療を伴うやり直しがその良い例です。
金属の土台を外し、根管の中を綺麗にしてから根管充填をし、歯に支えとなる補強を行い、歯の形をした冠を被せる為の型を取り作成し、調整をして接着をする。
これを治療回数にすると
1回目 初診のレントゲンで治療のしてある根の根元に病変が見られ、治療の必要性を認めた
2回目 金属の冠、土台を丁寧に外し、ラバーダムが架かる様に築成する
3回目 古い根管充填材を除去する
4回目 根管の中をきれいにする ただし1回できれいに出来ることは少なく、多くの場合、1本の歯に複数の根管があったり、根形態が複雑な為に治療がうまくいかず根尖病変が出来てしまった場合が多いので、通常は数回、治療回数がかかる
5回目 根管充填
6回目 支歯築造 残っている歯質が多ければ1回 残る歯が少なく型をとって作る場合は2回
7回目 被せ物の型をとる
8回目 完成した冠をセットする
つまり場合によりますが、再根管治療を伴う再治療が歯を被せ治療が終了するのに最短8回、4回目で2〜5回位は前後し、支台築造が2回かかったりすると10〜13回位は平均して治療回数がかかるということです。
これが2週間に1度の来院、つまり月に2回となるとそれだけで5ヶ月程度は治療日数がかかるということなのです。
これで1本の治療です。
再根管治療の本数が多ければ時間はそれだけ時間はかかります。
これに歯周病の治療
歯がなければインプラントや義歯により歯を作る治療
噛み合わせが安定しなければ噛み合わせをどこで作るべきかを定める治療
とにかく大変です。
根管治療が絡まない治療
例えばコンボ10とレジン修復は1回で終了する虫歯治療です
インレー修復は型を取り、次には出来てくるので2回で終わります。
つまり、「根管治療」、特に一度治療した歯の再治療があると治療回数は格段に増えるのです。
日本では根管治療が軽視されてきました。それ故に日本の歯科医院における根管治療の成功率は低く実に3割以下と言われています。
保険点数が低いので、ちゃんとやる先生が少なく、また、道具を揃えてちゃんとやると大赤字なのでしっかりやる先生は自費でやる先生が多いのが一つの理由です。
当院では、500万円以上のマイクロスコープ
1日に患者さんが何人来院されても滅菌が間に合う対応できる数のラバーダム防湿の、根管治療の器具の数
ちゃんとやろうとする程、赤字です。
でも保険でやらせて頂いているのは、正直患者さんの数が多いから、他の治療の利益で何とか補填が出来ているからです。
治療回数が多くて喜ぶ患者さんはいません。
赤字部門の治療をたくさん長くやりたい歯科医院もありません。
患者さんは早く治療を終わりたいし、勿論私たちもなるべく治療を早く終わってあげたい。
だからこそ根管治療が少なくて済む事は患者さんにとっても歯科医院にとても良いことです。
その為には「痛くなってから歯科医院を受診する」事をやめ、歯科医院には定期的に来るところに変えて頂きたいのです。
ほとんどの場合、重症で歯髄を取って根管治療をするか抜歯の可能性が高いからです。
不満をお持ちの患者さんにこそお伝えできればと思っています。
軽症は早く終わる
重症は時間がかかるのです
そして重症か否かは「痛いか痛くないか」ではないという事なのです。