歯の豆知識2023.02.27
小児の機能改善で歯並びを改善する矯正マイオブレース
昨年、秋から医院として、みんなで勉強して取り組んでいる治療があります。
小児の機能、(飲み込み、呼吸、姿勢)などを改善する事で、歯並びを改善する治療
「マイオブレース」です。
歯列不正は「呼吸、飲み込み、姿勢」に問題を抱えたまま成長をした結果である可能性が高いという事です。
遺伝的要因20%、習慣的要因80%と言われています。
これまで、歯列不正に関しては「遺伝的要因90%」と学び、その様に臨床をしてきました。
ですから、特に遺伝的要因が強くあると思われるケースでは成長期には手をつけず、抜歯して歯を並べるスペースを作ったり、場合によっては骨切り手術をして、骨の形を整えたりします。
しかし、昨年、遺伝的要因が大きいと言われていたけれど、正常な機能を獲得できる様にトレーニングを行う事で、顔の形や歯並びは私達が思っていた以上に大きな影響を受けることを学びました。
その治療は矯正学界では異端であり、「新しいものは理由もなく批判を受ける」と、この治療を提案したファレル先生は言ったそうです。しかし過去の考え方では否定的なものでも、実際の治療の結果を見るとそれは驚きであり、素晴らしいものでした。
大学で教わったり、講習会に通い、学んだ事とは違う矯正を学び、
「もっと早く知りたかった」
と思いました。
協力を仰ぐために、全員は無理でも、出来るだけ多くの人数にお願いをして、ドクター、スタッフもセミナーを受講してもらいました。
本来、多くの時間を人は口を閉じて、その時に舌は上顎にくっついた状態になります。
しかし、現代人は勉強をする時、ゲームをする時、スマホやタブレットをしている時、人は下を向いています。ここ数年はそれに加え、新型コロナウイルスにより、マスクを長い時間つけていることが多くなっています。
試しに下を向いて、口を閉じていて下さい。息苦しくありませんか?
そうすると人は口を開きます。そうすると舌は上顎を離れ、下に下がります。
この状態を「低位舌」と言います。
歯は唇と頬が内側に押す力、舌が外側に押す力の均衡した所に並びます。
低位舌が続くと、上顎は十分な成長ができないで、歯並びは乱れます。それにとって上顎にに収まる下顎の歯並びも乱れます。
そして、口が開いた方が楽になると口唇の口を閉じる筋肉が十分に成長出来ずに、口が閉じにくくなります。
そうすると飲み込む時に開いた口を塞いで飲み込みやすくする為に舌は前歯を押す様に動かして嚥下をする様になります。
1日に子供は唾を約2000回飲み込みます。
その口の周囲の筋肉や舌の動きに合わせて、顎の骨は成長をしてしまうのです。
結果と逢て発育不全になり、歯並びも悪くなります。
口が閉じにくくなれば、より口で呼吸をします。
鼻呼吸の重要性は現在は何故重要なのかが分かってきています。
鼻呼吸は口呼吸に比べ、優れている点があります。
一つは鼻がフィルターになり、汚れやウイルス、細菌などを体に入れない様にしています。
口で呼吸をすれば、ウイルスや雑菌はダイレクトに気道の粘膜に付着をするので炎症を起こしやすくなります。
また、副鼻腔は一酸化窒素を酸素に混ぜて肺に送る働きがあります。
一酸化窒素は血管拡張作用があり、
高血圧、動脈硬化の抑制
血小板凝集抑制作用による血栓症の抑制
神経伝達における情報伝達作用で精神疾患の抑制
などが鼻呼吸による恩恵として知られています。
この治療の従来の治療に比べ、優れているのは
①固定装置をつけないので痛みが出ることが少ない(症例により、BWSという拡大装置を裏側につける場合はある)
②歯並びを悪くする習慣(呼吸、飲み込み、姿勢)を改善するので、矯正後の後戻りが少ない
③治療によって生じるデメリットがほとんどない
逆に従来の治療に加え、患者さんの努力、協力はとても重要です。
「勉強しろ」と言って、勉強する子供がほとんどいないのと同様に、お子さんに「装置を使って、練習しておいて」と子供任せにしても上手くいきません。
お父様、お母様の協力がとても大事になります。
年齢は6、7歳から始めるのがとても大事です。何故ならば、上顎骨の幅の成長は10歳くらいに終わってしまうからです。
勿論、習癖の除去の為に、その年齢を過ぎてからでも勿論、治療の価値はありますが、成長を促すという意味においては、やはり6〜7歳に開始出来ると良いと思います。
うちのスタッフが勉強を進める中でこんなことを言いました。
「この治療は、親が子供に「健康」をプレゼントするんですね」
本当にその通りだと思います。
口腔機能、それによって歯並びに問題を抱える多くの子供達に、適切な時期にお届けできればと思っています。