その他2023.07.18
神様のいたずら〜過剰歯、歯牙腫、萌出異常、先天欠損、等を抱えるお子様〜
「ここの医院は何故、こんなに難しい症例が多いのですか?」
一昨日、矯正の専門医の先生に言われた言葉です。
歯牙腫という、歯のなり損ないが邪魔をしていたり
永久歯が変な方向を向いてしまっていたり
過剰歯という余分な歯があったり
本来ある永久歯が出来なかったり
これらの現象は、患者さんが何かしたから、とか親御さんに責任はなく、神様のいたずらとしか言えません。
昨日も歯牙腫の摘出手術を行いましたが、実は「摘出のやり方」を直接誰かに指導を受けた事も、実際に見た事もありません。
事前のカウンセリングで患者さんのパーソナリティをしっかり把握したり、CTによる本を見たり、過去の抜歯や手術の経験から最良と思われる方法で行って出来るようになりました。
16年間の過去を振り返ると
歯垢染め出し液が原因で患者さんに起きたアナフィラキシー反応
柔らかすぎる骨に逆回転しても沈んでくインプラント
麻酔による半身麻痺→検査の結果何の移動もなく数時間後には完治
イカフライを食べただけで、口の中から血が止まらない→インフルエンザ治癒後の血小板数の一時的な劇的減少による
矯正に比べると命に関わる局面もあり、この瞬間は医療を提供する側も本当に焦るし、でも冷静に最善で最良を選択しなければなりませんでした。
とにかく
勤務医時代には見た事もない症例の数々を経験しました。
何故、こんなに「何故うちの医院だけ大変な症例が多いんだ?」
勤務した医院も、友達の医院でもそんな事、起きていないぞ?
と不思議に思うと、同時に
「僕は運の悪い運命の星の下に生まれたのだろうか?」
と本気で考えたりした時もあります。
何故、難しい症例が多いのか?
それは「来院する患者さんが多いから」です。
それは「安易に他院を紹介で済まさないで、まず方法を調べて考えるから」です
紹介が悪い訳では全くありません。
むしろ出来もしないことに手をつけるのは危険です。
でも、極限に追い込まれ、我が事として感じ、調べ、考えなければ、その局面に会う前と自分のスキルは一生変わらない。
そして「神様が成長の為の試練を与えてくれているから」です
この3つ目は、非科学的なコメントですが、後になると本当にそう感じる機会が多かったです。
神様、とは特定の宗教の神様ではありません。私は特に決まった宗教を信仰しているわけではありません。
神様、とは天というか人智を超えた、自分ではコントロール出来ない運命とでもいうものです。
人はわざわざ精神的にも状況的にも追い込まれたり苦しい思いをしたい人はいません。それは突然に訪れるのです。
私達もその場では焦るし困るのですが、患者さんも困って不安でいるだろうし、その局面に身を置く経験を何度もするからこそ、日常の知識や道具の「準備」の重要性を改めて感じるのです。
だからケースに出会う事は意味がある事なのだと捉えています。
具体的方法は患者さんの年齢、全身疾患の有無、患者さんのメンタルやパーソナリティーにより対応は違います。
「何故私だけ」
「何故うちの子に限ってこんなことに」
と思われるご本人やご家族を沢山拝見しました。
本当にその通りで、何か悪いことした訳でもないのに何で?と私達も思います。
不安も怖さも
その問題を必ず解決出来るとは言えないし、今後もっと困難な局面を経験するかもしれません。
何でも出来る何て事は絶対に言えない。
勿論、場合によっては問題を解決する為に他院をご紹介する事も多々あります。
でも何故かこれまでに与えられた試練が多かったから、引き出しは少しだけ多いとも感じてもいます。
出来る事を全力で考える
その上で最善最良は何かを選択する
その繰り返しをしていくことのみが私達が出来る事です。