医院ブログと歯の豆知識

CLINIC BLOG & TOOTH KNOWLEDGE

医院ブログ2023.11.09

アフリカの子供は歯並びが悪くないって何故?

昨日、今日、と医院を休診にして小児の筋機能矯正のセミナーに参加して参りました。

常勤歯科医師4名、とマイオブレースエデュケーターの2名が参加するのに診療をすることが不可能な為、休診にして参加をしました。

正直、医院を休診にする事は患者様にご迷惑をおかけするばかりではなく、売上を2日間ゼロにする事の金額的なデメリットも小さい額ではありません。

それでも十分に参加した価値はありました。

今後、皆様に学んだ事をフィードバックできる様に体制お整えたり、仕組みを作るのが院長の僕の大事な仕事です。
明日はその具体的施策の実施方法を決めます。
診療は通常通り行います。
院長はおりますが、バックヤードで、今後の取り組みと人材配置、評価制度の作成などの仕事を行っています。
ただでさえ予約の取りにくい中でご迷惑をお掛けしますが御理解、御協力を宜しくお願い致します。

国立科学博物館に行くと、昔の人の骨格標本や歯列の模型の展示があります。

例えば江戸時代の人は今の日本人と比較すると骨格的には小さいのに不正咬合は少ないです。
また、発展途上国と言われる国(アフリカなど)の子供達も不正咬合は少ないのです。

それは何故なのか?

それは不正咬合が、現代人が過ごす生活の中に、子供たちの健全な体や機能の発達を妨げる要素があるからです。
だからアフリカの子供に不正咬合は少ないのです。

例えば呼吸

人は下を俯くと口が開いてしまいます。
そうすると舌は本来、口を閉じているときは口蓋にピッタリ付いているものなのですが、口を開くと、舌は口蓋から離れています。

歯は舌が外に向かって押す力と唇や頬、口の周囲の筋肉が内側に押す力の拮抗した場所に並びます。

そして鼻ではなく口で呼吸をしていたり、飲み込む際に異常な飲み込み方をすると、本来あるべき場所に歯が生えられない状況になる事があります。
呼吸は生きている限りずっと無意識に行うものであるあし、子供で1日約2000回唾を飲み込んでいます。

この無意識の習慣の中で歯並びが受ける影響がいかに大きいか、これまで大学などで私達が受けた教育では、対処が遅れる事の問題の大きさを教わる事はありませんでした。

そして異常な発達をしてしまった後に、伸びすぎてしまった骨を切ったり削る事も成長を促す事も出来なくはありませんが、原因が排除できていなければ「必ず」再発、つまり後戻りが起きます。

これは永久歯が2度と再生をしない為、むし歯で歯を削るといかに丈夫な材質で修復しようとも、そもそも削った歯は弱くなる事であったり

歯周病の患者さんが真面目に歯科医院に通っても、煙草を吸い続けていたり、歯磨きのやり方や頻度が変わらなかったり

どちらにしても悪くなった原因が排除できなければ、一旦治ったり改善した様に見えても、いずれ更なる問題を引き起こすのと同じ事です。

そして、成長発育をこれからする子供だからこそ、その時期に出来る事があるのです。

問題を放置すれば、後で問題は大きくなり重症化します。

そして、重症化した病気を治すのは如何なるテクニックやテクノロジーを駆使したとしても、難しいのです。

しつこい様ですが、

「全て歯が生え変わってから、矯正しましょう」

は大きな間違いです。何故ならば歯並びが悪くなったのは原因ではなく、結果なので、歯並びを悪くするに至った原因はなるべく早く除去すべきだからです。

私達、歯科医療従事者がやるべきは重症化をさせない為に患者さんのサポートをすることにどんどん移行しています。
悪くなったものを全力で治すよりも、そもそも悪くしない事の方が、確率が高く患者さんの健康を守る結果を出すことが出来るからです。

今、私がこうして書く医院ブログは、多くの人の目につく事はないでしょう。
当院に来られる患者さんは御紹介やgoogle の口コミを見て来られる方が多いので、よほど慎重な患者さんでない限り医院ブログまで読んでくださる方は少ないと思います。

でも、読んだ方は伝えて欲しい。
5歳くらいから、歯並びを悪くする原因に対してアプローチをすれば歯を抜いたり、ワイヤーで矯正する前に出来ることがある事を。
何故ならば遺伝的要因よりも、習慣的要因が歯並びを悪くする確率が高いから。

習慣へのアプローチをするのは歯科医院の技術だけではどうにもならない事で、あくまで主役は患者さん。
私達は患者さんの習慣改善のサポートが最も重要です。