歯の豆知識2018.07.30
虫歯は痛いの?
「学校から紙をもらった」
この理由で来院される小児の患者さんは多いです。
そして必ずと言って良い程、こうおっしゃいます。
「痛くないんです。治療しなきゃダメですか?」
結論は
「象牙質まで及んでいたら痛くなくても治療しなくてはいけません」
です。
歯の外側のエナメル質の中だけの虫歯であれば、歯ブラシ、デンタルフロス、食生活習慣の改善により唾液中のカルシウムによる再石灰化を期待でき、歯を削ることなく進行をとめられるかもしれません。
しかし、象牙質までカリエスが及んだ場合には再石灰化の期待よりも進行のリスクの方が大きくなります。これは象牙質が「象牙細管」という小さな穴が沢山開いた構造をしている為、ここに細菌が入り込むのです。
エナメル質と象牙質は構造の違いで虫歯の進行が違うのです。
共通点もあります。
それは
「生きた組織ではない」
ということです。
生きていない、ということ、つまりはエナメル質にも、象牙質にも虫歯で穴が開いたくらいでは痛くないんです。
象牙質を大きく失って、象牙細管を通して刺激が伝わり、しみることはあります。
大事なのは
「痛い」=「悪い」
「痛くない」=「大丈夫」
ではないという事を知っている事です。
患者さんで歯を削りたい、抜きたい、という方は一人もいません。
出来れば誰でも歯科医院には来たくはないし、出来るだけ何もしたくないです。
ただ、「何もしない」のと「問題が起きない様にする」事は全く別問題です。
こんなデータがあります。
歯科医院に「治療」で通った結果、80代になったときに残っている歯は6.7本です。
一方、「検診(メインテナンス)」で歯科医院に通った人が80代で残っている方は16.8本でした。
しかしながら治療でのみ通っていた患者さんの方が270万円多く、医療費がかかっていたそうです。
つまり
歯医者さんに削ったり詰めたり抜いたり歯を作ったりすることで通うと、定期的にケアで通う人に比べて歯もお金も無くなった、ということです。
当院にいらっしゃる患者さんにはほぼ全員にこのお話をします。
何故ならば僕たちの仕事は歯を削る事や抜く事、歯を作ることが目的ではなく、
「歯がない事で困ることの解決とそういう問題がおきるのを未然に防ぐこと」
だからです。
知識、治療技術は大切です。
僕も膨大な時間と莫大なお金をかけて勉強しました。しかし知れば知るほど、腕を磨けば磨くほど思った事があります。
それは、口の中のみならず、体の健康はお金では買えないということです。
生活習慣病である虫歯や歯周病は日々の習慣の積み重ねのみが唯一、私たちが出来る健康への投資なのです。
長い文を最後までお読み頂きありがとうございました。
なるべくつらい思いをしない様に、なるべくお金がかからない様に、当たり前の健康を継続できる様に、歯医者さんを利用してください。