その他2021.01.02
えんとつ町のプペル
明けましておめでとうございます。
昨年は新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大という私達が経験したことのない事が起きました。
2020年大晦日の東京での感染者数は1300人を超え、事態は緊急事態宣言の出た4月よりも悪い状況です。
2021年お正月は「何処か行こうよ」と気兼ねなく言える状況ではありません。
でも、どうしても観たい映画があったんです。
「えんとつ町のプペル」
です。
原作はキングコングの西野亮廣さんで、この映画の公開にたどり着くまでに12年の歳月をかけ、今回実現となった作品です。
you tube 等で西野亮廣さんがお笑い芸人なのに何故絵本を書きはじめたか、何故映画を作ろうと思ったのか、その為に何をしたのか思いを知って、とても興味がありました。
絵本「えんとつ町のプペル」はネットでも公開されています。
予約サイトで見ると映画館はさほど混雑していない様子だったので、感染リスクは高くないと判断し観に行きました。結果・・・超泣きました。既にストーリーを知っているにも関わらず。
涙の理由は僕が父親として主人公ルビッチの父親のブルーノの思いに感情移入したのもあるんですが、この映画が出来るまでの過程や西野亮廣さんの思いを知った上で絵本から映画になった事自体に感動したからです。
昔、「はねるのトびら」というコント番組がありました。
西野亮廣さんとyou tuberとして活躍するカジサックこと、梶原雄太さんのキングコング、ロバート、北陽、ドランクドラゴン、インパルス出演のコント番組です。
10代でデビューして数々の賞を獲得し、次世代のナインティナインに続くスターを作ろうと始めた番組のセンターに選ばれ、「はねるのトびら」は高視聴率を取りました。
その絶頂期に西野さんは「このままじゃダメだ」と思ったそうです。
高視聴率を取ればスターになれると思っていたのに、そうなってみても偉大と言われるお笑いの先輩達に追いつける素振りもなかったからです。今は上手くいっているように見えても長くは続かないと
そしてタモリさんに勧められ絵を描き始めます。その時から頭には映画を作りたいと思っていました。絵本の原画個展をやる為に、当時日本では殆どの人が知らないクラウドファンディングを利用したり、イベントのチケットを手売りで2000枚売ったり,オンラインサロンを作ったりしました。
お笑い以外の事を一生懸命やりはじめた芸人仲間には悪口を言われたり、馬鹿にされたりしました。
そしてスマートフォンの登場で、you tube が良く見られるコンテンツとして登場します。
TVでは相変わらず芸人はひな壇に並び笑いを作っていたけれど、スマホの画面には適さないと思ったそうです。
でもTVは変わらなかったし、芸能業界も変化が遅かった。
キングコングは活躍の場を移していきます。
時は流れ、2017年、絵本「えんとつ町のプペル」はネットで公開されました。
この絵本は多くのこれまでの常識から外れていました。
まず、作り方です。
この絵本は40人が分業で作っています。
絵は西野さんは描いていません。キャラクター、背景、空など別々の人が描いています。
簡単にいえば映画の作り方を絵本業界に持ち込んだのです。
今までは絵本は一人で描くものでした。その理由は「お金」です。
5000部がヒットと言われる絵本業界で得られる収入は多くありません。だからコストをかけられないというのがありました。
だから、クラウドファンディングで売ったり、無料公開してあえて「ネタバレ」させることで、時間にもお金にも余裕のない母親が内容を知ってから、安心して子供に買える様にしたことです。
それは50年以上前の絵本が今も本屋で平積みされているのは、経済的にも時間的にもゆとりのないお母さんは自分が子供の頃に読んでもらった時の記憶があり良いと思った本を買い与えていたからです。
その売り方を書いたビジネス書「革命のファンファーレ」として出版します。そうして起業家の関心や応援も得ます。
そして色んな方面、人からの協力と応援を得ていよいよ公開されたのがこの映画です。
僕は読んだ絵本そのものをとても良いと思って観に行きたかった訳ではありませんでした。
作品に対する思いやこの時に至るまでの西野亮廣の歴史を知っていたからこそ観たかったのです。
実は僕は歯科医療業界や自分の置かれる状況にもにも少し似たような事を感じていました。
歯科の商業雑誌においては自費診療が主体の治療の方が多く掲載されて高い評価を得ています。
保険診療の材料、方法において制限のない中でこそ歯科医師の実力が現れるという風潮は長年に渡りあります。お金を稼ぐには数を診るか、単価を上げるかしかありません。単価を上げた方が丁寧な治療が提供出来、単価は上がる治療が多い方が歯科医師にとって実力を発揮しているという考え方に基づく結果です。
歯科医師の側から見たらある意味、それは真理です。
ネット広告関連の営業も
「インプラント専門サイトを作りませんか?」
「矯正専門サイトを作りませんか?」
自費診療を如何に売るかの営業が多いです。
しかし、保険外の高い費用を払いたい患者さんは多くはないでしょう。
医療を提供する側と患者さんに価値の相反が生まれています。
医科の世界では保険診療よりも自費診療が評価されるということはあまりありません。
勿論、医科と歯科では保険制度で振り分けられる治療や点数の差は大きいと思います。
だから若手歯科医師は「自費診療」を教えてくれたり、それを行う為の事を教えてくれる歯科医院に就職したいと思います。
もしくは保険の患者数が多く、とにかく数がみられる所を選択するでしょう。
稼ぐにはその2つのタイプの医院しかないからです。
その他に最近では稼がなくても良いから自分のライフスタイルを優先させたい先生もいます。勿論、それはそれで良いと思います。
ただ、インプラントや矯正治療の適応症例の選別等、稼ぐ為の商業的目的の治療の横行があまりにも多いし、それが酷い結果を産んでいる事に僕はどこかでずっと怒りを感じていました。
保険医療だけだったとしても医科の様に歯科が成り立つ様にする為にはどうすれば良いだろうか?
ただ単純に患者さんに良いことをしようと、思いを持って働いてくれているドクターやスタッフを豊かにするためには何をすれば良いだろうか?
彼らが考え方と正しい知識、技術を駆使すれば嘘をついて自費診療を勧めるドクターよりもきちんと収益化出来る医院の経営者となれる様にする為には、まず「はらデンタルクリニック」は何をすれば良いのだろうか?
それには既存の価値観や制度、歴史を知った上で、良くない所を改善しなくてはならない。
you tube やSNSを使った正しい情報の発信が必要かもしれない。
そもそも虫歯も歯周病も生活習慣病で、歯医者に通っただけで治る病気ではないことや、高い材料を使ったから長持ちする訳ではない事、一番は重症化させないように歯科医院を利用してもらう事がコスト面でも痛い思いをしない為にも歯を残して歯で困らない未来を作る為にも一番優れている事。
でも保険診療でいわゆる「予防」や「メインテナンス」が認められていない事を。
僕はその事を自分の医院で患者さんに、学校の講義で生徒さんにお伝えしています。
その中には歯科医院にとって「不都合な真実」も含まれています。
今、月に1000人を超える患者さんが来院して頂けているのは、僕のそんな思いを知り、ある程度同意してくれたから超非効率経営について来てくれているスタッフはいてくれているお陰で成り立っています。
だからこそ、思いを持って頑張る人が報われるためにも未来の歯科医療をを書き換えたい
でもそれを変えるに至る活動は十分に出来ていないし、協力者を沢山得たわけではない。
思いを叶える為に行動し、協力を得て、形にした西野亮廣さんに対する憧れや羨望が観たいと思わせたのです。
だから、夢や目標を持ち、既存の概念や方法から外れると笑われたり嫌われたりするけれど、それでも思いを叶える為に諦めず信じ抜き、考えて、行動していく事を西野亮廣さんやルビッチに勇気や希望をもらった気持ちになりました。
映画を観た人によって評価は様々でしょうが、僕には1年のスタートの日に観るのにとても良い映画でした。
今年もあらためて正しいと思ったこと、やるべきと思った事をコツコツやり続けようと思っています。
またこの1年も、どうぞ宜しくお願い致します。