その他2021.04.29
良い歯医者はどうやって育つの?
患者さんであれば、誰でも腕の良い歯科医師、誠意ある歯科医師、思いやりのある優しい歯科医師に診察をして欲しいと思うはずです。
当院は歯科医師が複数います。その歯科医師達が当院で患者様に最良の医療が提供できる様にする義務が僕にはありますし、出来るなら歯科医師が当院を卒業しても自分の医院で責任と誇りと自信を持って歯科医師人生を送れるようになる為の環境にしたいと思っています。
どうすればそういう歯科医師は育つのでしょうか?
僕が、はらデンタルクリニックの院長として14年目になりますが、色んな先生を雇用してきました。
「この先生、伸びるな」
という先生もいれば
「この先生は将来、どうなっちゃうのかな?」
という先生も正直、いらっしゃいました。
勿論、事故が起きたり、患者さんにご迷惑をかけない様に、任せる仕事にはテクニックや患者さんへの説明などを行えるスキルが一定基準をクリアしている必要があり、患者様の予約はその習熟度を考慮して診療を行なっています。
全チェアに口腔内カメラが搭載されているのは、患者様に情報を提供することだけでなく、全術者の治療レベルを管理する意味もあります。
治療の妥当性はその場だけでなく、時間経過を追いかけて比較することで評価できます。その為には口腔内写真、X線写真、歯周病の検査の数値、模型、など資料の採得と分析が必要です。
ですから、優秀な術者を育てるには
「資料の採得とその分析」
が行われている歯科医院なのかが環境として重要だと思います。
本日は休診ですが、ドクターはセミナーを受講しています。
今日は歯科技術系セミナーではありません。
勤務医としての仕事観の在り方、自分の歯科医師としての人生の在り方を学び考えるセミナーです。
実は今日のセミナーは技術系セミナーよりも重要ではないかと思っています。
何故ならば、歯科医師は診療していない時間の使い方で優秀な歯科医師になれるか否かが決まるからです。
歯科医師にとっての仕事は診療時間が全てではありません。逆に言えば診療時間だけの仕事としているドクターは、絶対に良い歯科医師になる事はありません。
大学に残れば時間に関係なく研究もあるし、当院に残ればカンファレンス、セミナー、練習など、勉強をしなければならない時間が多くありますし、診療後なり昼休みなり、そういう取り組みをやります。それが嫌なら歯科医師については当院は雇用をしません。
若い先生方、上達したい先生方、成功したい先生方に声を大にして言いたいのは診療時間外の時間の使い方でそのドクターの未来が決まる事は間違いないということです。
でも、診療時間外を使うとすると、24時間の中で診療以外の時間は10時間以上あります。それをどう使うかは個人に委ねられています。人はそんなに立派ではありません。自分の事を振り返っても勤務医時代に自分が良い勤務医だったとは思えません。でも、もし、その時に自分の目標が明確であったならばもっと早く技術を習得できたし、人間的成長ももっと早かったと思います。しかし、僕は勤務医時代、診療は頑張りましたが、それ以外の時間を漫然と過ごしていました。だから後にとても苦しむ事となりました。
自分がそうだったからこそ、若いうちから自分の欲望や感情と向き合い、どういう歯科医師として生きていく方向性を定める事は本当に重要だと思っています。
院長や誰かに強制されなくても自ら学び続けるにはモチベーションの継続が必要なのです。
モチベーションの維持が出来る歯科医師。それが仕事が出来る歯科医師になる人です。
「将来、なりたい自分を明確に強く持っているか?」
その問いに対し、強く即答出来る先生が伸びていくのです。
そして、そのなりたい自分が当院の医院理念と合致した時に僕達は最高のチームとなれると思います。
当院では歯科医師は完全歩合給になる事はありません。何故ならば売上の高さと診療が適切かが一致しない事があるからです。自分の稼ぎのために患者様の治療方法を選択することがあってはならないからです。ですから、売上が上がっている歯科医師が必ずしも当院で評価はされません。
歯科医師として優秀な歯科医師になるという評価の基準は、手先の器用さ、お話の上手さ、理解力の高さ、問題解決能力の高さ、コミュニケーション力の高さなど、優秀さの要素は色々あります。
そして、先生方の批判を承知で言うと、患者さんにとって良い治療が出来る学位があるかないかや、専門医があるかないかは何も関係がありません。それは学位や認定医は大学や学会の評価であり、患者様の評価ではないからです。
歯科界では保険診療よりも自費診療が出来る歯科医師が優秀だと評価される傾向にあります。単価が高くても患者さんにそれを受け入れて頂き最高技術を提供できる歯科医師が良い歯医者だと、若いうちから刷り込まれます。
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しかし、患者さんで誰もが高いお金を払うわけではないし、そもそも重症な疾患に至らなければ自費診療を必要としない可能性が上がるのです。(遺伝的疾患や矯正治療を除く)
幸いにも今、一緒に働いている歯科医師達は同じ方向を向いてくれていると思います。
ゴールデンウィーク初日を学びに費やして頑張っているドクター達の未来が明るいものである様に切に願います。