医院ブログと歯の豆知識

CLINIC BLOG & TOOTH KNOWLEDGE

その他2021.09.21

歯が割れて無くなる

はらデンタルクリニックが定義する歯科医院の役割は

①患者さんにお口の中に関する悩みを解決すること
②患者さんのお口に関する悩みが生じるのを未然に防ぐ事

です。

お口に関する悩みとは、「痛い」「噛めない(機能)」「見た目」「匂い」「良く分からないけれど嫌な感じがする(不定愁訴)」「顎が開かない」「歯並びが悪い」「口の中に出来物が出来て、癌じゃないか気になる」等、多岐にわたりますが、この中で解決できるものと出来ないもの、未然に防げることと防げない事があります。

中でも最も色んな悩みの根源になるのが「歯がなくなる」事です。
「噛めない」「見た目が悪い」「入れ歯が合わない、煩わしい」「治療費が高くなる」などの悩みは歯がなくなってしまう結果、生じる事が多いのです。

8020推進財団の10000本弱の抜いた歯の原因を調べた結果、歯が無くなる原因は

第1位 歯周病 42%
第2位 虫歯  33%
第3位 破折(折れる) 11%

です。

調査している対象の分母や調査の基準なども考慮はしなければなりませんが、歯科の2大疾患である歯周病と虫歯以外で「折れる」事が歯が無くなる理由である事は臨床での実感と一致します。

歯根破折に至る1番の原因は「抜髄」つまり神経を取るほど虫歯になってしまい、歯を大きく削る事になったせいで強度が下がってしまった結果、生じる事が多いと思います。
少数ながら、外傷でぶつけたわけでも虫歯も歯髄を取った履歴もない歯が自分の咬む力で割ってしまう方もいらっしゃいます。
僕もその一人で、自分の歯を咬む力で割って抜歯をしています。

歯も割れ方によって治療がちがい、骨の下まで歯根が割れたとしても矯正で引っ張り出す(エクストリュージョン)事で、対応出来る位置であれば、抜かずに残すことを選択します。
しかし、矯正で引っ張り出す事では対応出来ない割れ方をした歯は残念ながら抜歯をします。

どうすれば歯を割らない様に出来るだろうか?

まず抜歯を防ぐには

①歯を削らない事です。

歯を削る量が多ければ当然強度は下がります。
特に歯髄を取る事を避けることは重要です。
虫歯は基本的には死んでいる組織であるはに穴が空いても痛くありません。
何もしなくても痛い位の大きさの虫歯の時は歯髄にまで感染が及んでいる可能性が高いです。
ですから「痛くない」うちに虫歯を発見し処置をする事が歯を折らない為にはとても大事だと思います。
自覚症状がないうちに虫歯を発見するにはやはり定期検診と適切な検査しかないと思います。

そして難しいのは、僕自身も歯を失う原因となった、「咬む力」のコントロールです。
無意識なだけに、基本的にはコントロールが効きません。
噛めない形の歯をしてしまっているせいで過度な力がかかる事もあります。その場合には咀嚼の
寝ている間にくいしばる力で歯が割れるのを防ぐ為には、

②寝ている間にマウスピース(ナイトガード)を使用してもらったり、入れ歯をつけて寝て頂いたりします。

その他、噛み合わせや顎の位置を変える事で対応出来ることもあるかもしれませんが、それでも歯を失う理由の第3位である歯根破折は完全に防げる訳では無いのです。
この歯根破折による抜歯を防ぐというテーマはずっと歯科医療を提供する僕たちの仕事につきまとう課題です。

痛みを伴わない歯根破折は、歯髄を取ってある歯に接着した土台ごと取れたり、部分的に歯周病の検査の数値がポケットが深くなったりすることで発見される事が多いです。