その他2021.09.25
障害者歯科
今日は休日でしたが、市の障害者歯科診療にアセスメント委員の当番で参加をしました。
市の障害者歯科は専門医、麻酔科医、協力医、歯科衛生士が協力して診療を行います。
アセスメントも協力医も歯科衛生士も当番制なので、1人の患者さんを何人ものドクターで診ます。
ですので、治療方針を統一することと、、次回診療するドクターにしっかり申し送りをする事がとても重要です。
アセスメント委員はメインテナンスにみえられた患者さんのチェックや協力医の先生が行う治療の進行状況と次回の予定を立案、申し送りを行います。
障害者歯科にみえられる患者さんは、一般の診療所では診療が難しい患者さんがみえられます。
施設に入られている方、知的障害を抱えており診療チェアに座っていられない為、抑制器具を使用して診療しなくてはならない方、鎮静をかけなければ診療出来ない方、など。
勿論、普段自分の診療所で行う診療とは出来ることも治療のゴール設定も違います。
ですので、それぞれの先生の経験や知恵を持ち寄る訳ですが、僕にとって専門医、麻酔科医、協力医の先生方とお話が出来るのは貴重な経験です。
町の診療所の院長の自分の目線では気付けない事や経験をシェア出来るからです。
例えば当院にいらっしゃる患者さんは、歯を残す為の治療が多いので、保存治療を得意としています。
でも御自身で通って来られる患者さんが多いので、免疫が下がっている患者さんはあまり多くはありません。
ご一緒させて頂いた先生は訪問診療に多く行ってらっしゃるので、免疫力の低下している患者さんを多くご覧になっています。ある患者さんの口角炎がカンジダが原因の可能性があるので、現在使用している塗り薬の使用に疑問があるとの指摘をして頂きました。
それぞれの経験値を活かして1人の患者さんを拝見し、意見を交換しながら診療をしました。
障害者の方の口腔内の環境を良好に保つのは簡単ではありません。
また、痛みが出たり困った事が起きても、歯科に来院する為に移動することが難しい事も多いのです。
麻酔の専門医がいるのも体が動いてしまい、抑制しなければ診療が出来ない患者さんがいらっしゃるからです。
だからこそ複雑な治療を回避する為にも重症化させない事が一般的な患者さんにも増して重要なのです。
そういう状況の患者さんを御家族、施設の方、所沢市の障害者歯科診療に協力する医療スタッフによって守ろうとしています。この事業には人件費、設備、診療を休んで協力する先生方の時間など多くのコストが掛かっています。
福祉というのは社会の思いやりです。
元スターバックスのCEOのハワード シュルツの言葉があります。
「企業は利益や効率を求めています。しかし私の経験から言えばそれを持続する唯一の方法は正しい事をすることです」
僕も普段は町の歯科医院という小さな企業の経営者です。
開業して患者さんに来てもらえずに思い悩んだ日々も長かった様に思います。
患者さんがきてくれる歯科医院にするには、誰から見ても正しいと思われることを実践して、そのことをスタッフが誇りに思うから良い人材が集まってくるので、非効率に見えても勇気を持って正しい事をし続けようと思い、色々試行錯誤して悩みながら14年間経った今、従業員というよりも仲間という言葉の方がしっくりくるスタッフも出来ました。
結果として、多くの患者さんに来てもらえる今があります。
この現場求められているのは最高の技術でも、最高のホスピタリティでも、利益を出すことでもなく、皆が協力して健康を守る事が難しい患者さんに対して、意見を交換し合いながら出来ることをします。
効率や採算は決して良いとは言えないけれど、このサービスを必要としている人達がいます。
障害者の保護者の方は「急に痛くなったらどうしよう」「年老いて自分が面倒を見られなくなったらどうしよう」色んな不安を抱えています。
患者さんもですが、お世話をする親御さんの不安が少しでも軽く出来る場としてこの場がある事は素晴らしいし、僕達、歯科医師が社会に貢献できる仕事なんだと存在価値を認識できる場だと改めて思いました。